処遇を上げること
2024年06月14日
ここ1年程で世界中が物価高騰に見舞われています。国家間のトラブル、覇権争い、為替の影響など複数の要因が複雑に絡み合った結果であると思われますが、一方で高度専門職や一部の若手社員の処遇が非常に高くなっていることも報道等で伝えられております。また、日本では働き方改革の推進が国家施策として進められていますが、時間外労働(残業)が減少すると給料が減ることや生活水準を落とすことへの不満の声も現業部門を中心に聞かれます。それなら、自分自身で上げた仕事の成果を基に適正水準の賃上げ交渉をすれば良いとの考え方もありますが、上司に直接給料を上げる交渉をするには組織で活動する従業員にとって心理的ハードルは高いと感じます。
高度経済成長期から労働組合が主体となって賃上げ闘争を繰り返していたことが、バブル崩壊・リーマンショック等により労働組合と経営層の間で緩やかな妥協へと変化していき、その影響が政治(政党)の力学にも影響しているのは、現在の政治の姿を見れば自ずと想像がつくことでしょう。例えば、同業他社等での自分の市場価値を測る指標として転職サイトが挙げられますが、当然給料の提示額は高くも低くもなります。また、自分自身のQOLを達成するための給与水準にしてもらうには当該労働が生み出す利益と対価との比較を正当化して交渉することになるでしょう。また、見えづらいところ(部下育成・チーム貢献度)の評価が正しくされているかも自分で証明する方法はなかなかありませんよね。
編集人が思う処遇引上げへの基準は、自分を成長させられる環境を自分で創り出せる職場、ロイヤリティーを持って楽しく仕事ができる環境が実感できるなど、給料・報酬などの金銭面だけではないと思っています。その点では、働き方改革の本質の中には、産業構造の変化(IT化・DX化など)への対応ができるリスキリングのように、過去の学歴・学校歴にこだわることなく新たなビジネスモデルを創り上げていくために学習することが、給料・報酬を上げていくための王道のような気がしています。