オフィス鴻

輸送できないリスク

2024年07月08日

一部日経BPMailからの抜粋を含みますが、KIRINの子会社であるキリングループロジスティクスが本年5月に物流DXパートナーとしてHacobu(トラック貨物マッチング事業者)社を選定したとの報道がありました。KIRIN社の物流部門と言えば、天沼京浜運輸・相鉄運輸・取手運輸・青葉運輸など製造工場周辺のトラック輸送会社が合併してキリン物流へと改組してグループ会社として2000年に統一したのですが、当時はまだトラック料金の非常に安い過当競争時代でありましたが、首都圏近郊にある酒販問屋ではその取引量の多さから最優先でトラック商品の積卸が例外的に行われていた(逆説的には他メーカーの荷卸しは後廻し)であったことでも知られていました。

政府の統計資料ではトラック貨物自動車積載率は40%前後とありますが、毎年提出する事業概況報告書によって事業年度の経過後100日以内に資料を提出する決まりがあり、その集計によって算出されています。つまり、飲料系のような重量品は重量比ではほぼ100%に近い積載率と言うことになります。当然、製造工程で必要とされる原材料が無くては商品は作れませんし、その商品を運ぶ手段が無ければ消費者への供給が滞るため、売り上げにも大きく影響します。これまでは宅配クライシスにスポットが当たり置き配などの施策が進められてきたのですが、実は宅配よりもここにBtoB(企業間物流)の根幹に関わる大問題が潜んでいることに目を向けて考える必要があると編集人は考えています。つまり、製造業(荷主)であっても中間流通機能の重要な担い手であるトラック運送事業者が貨物を運びきれなければ、商品供給に支障をきたす日が目前まで迫っているのです。

これまでも、大型車両の規制緩和(最大車両重量25トン、重量15t)、度重なる免許制度改定などは行われてきましたが、根本的な解決策には至っていませんし、自家用トラック(白ナンバー)にも新たな規制が掛かるなど、まだまだ先の読み切れない課題が山積しています。