オフィス鴻

高度物流人材とキャリア形成

2024年07月06日

編集人が社会人となった頃から、物流部門への配属はすでに長時間労働を伴う一種の余剰人材の受け入れ先との側面が強くありました。最近では物流クライシスがマスコミ等で取り上げられる事例も増えましたが、中間流通機能(≒サプライチェーンマネジメント)における物流の原点はロジスティクス戦略(兵站)であることに変わりないと考えています。その理由は、企業内活動で物流面の課題を解決するには物流領域だけに精通した人材では解決できない商流等を含む多数の課題・障壁について経営陣が正しく理解しているかどうかで、消費者(リテーラー)や中間製造業への対応が異なってくる点にまで気を配りながら全社でビジネスを進める必要があるからです。

以前のブログではアグリゲーターの役割の重要性について触れましたが、物流部門が閉塞的状況に一旦陥ってしまえば「計画的にモノを売る」ことが非常に困難となります。そこで、縦串組織の中でも横断的横串のビジネス感覚と人材の有機的なネットワークを有効に機能させることができる人材が必要だと思われるからです。最近では大企業(サプライヤー)の中にCLO(Chief Logistics officer)のポジションを創設する動きがあり、経営全体を俯瞰でき物流に関する高度なスキルをもった人材(高度物流人材)が求められるようになりました。ただ、そのような人材が物流業界の中に潤沢に存在するのかと言う視点では、正直なところ殆どいないのではないかと感じています。

その理由は非常にシンプルなもので、物流事業従事者が高度専門人材としてステップアップしていくキャリアパス自体が殆どないことにあります。一般的な物流事業者では現業職(ドライバー職・構内作業職など)の中から比較的優秀な従業員を事務職へと職務転換させることで管理者を育成・補充しているケースが多く、そこにはキャリアパスと言う概念は非常に薄いのが現状であり、また物流クライシス対策そのものだと思っています。