オフィス鴻

物流DXの本質

2024年09月22日

いすゞ自動車が製造するトラック(ギガシリーズ)の新しいラインアップに低床3軸大型車がマイナーチェンジの形で発売される計画だそうです。運送事業に関わっていない方のために簡単に説明すると、道路運送法では車両規格(大きさ等)が決められており、荷台を低くする(低床)ことで積載能力(容積)が増えることになります。見分け方は、トラックを横から見た時にタイヤが3つ(3軸)以上見えれば、殆どが大型車かけん引車に分類されるでしょう。これまでの低床大型トラックは4軸でしたが、今回は同じ大きさ(通常の大型車のタイヤより一回り小さい)のタイヤとすることでメンテナンス作業費用が軽減される効果もあるようです。

ただし、実際に大型車両を運行してみると、低床トラックの弱点である積込・納品場所の勾配がきつい所では、安全装置(バンパー)や車低部が接触(業界ではカマボコと表現することがあり、海外でも地方の踏切で立ち往生する事故が発生しています)することが多々あります。今回、その点についていすゞ社の見解はHPでは見つけられませんでした。編集人は車両構造自体は良く考えられて製造されているように思いますが、実際の物流現場に対する深い知見がないとトラック業界に限らず、マテハン(移動機器)や自動倉庫・バックヤード管理システム等まで含めて考えていくことが、これから先の物流DX実現のカギを握っていると考えています。倉庫作業では相当自動化が進んできましたが、日本にある倉庫の99%(自家用を含む)は小規模施設であることを考慮すれば、まだまだ解決すべき課題は非常に多いと考えられます。

以前のコラムでも経済産業省のDXの定義をご紹介しましたが、デジタイゼーション(簡単に言えばIT化)と混同されている面も否めません。特に物流業界ではレガシーシステムが数多く残っており、大手以外では本来の目的であるビジネス、業務、企業文化等の変革以前に、現有戦力での競争力の維持・獲得・強化を果たすことが先決でしょう。