役職定年・年功序列制の廃止
2024年08月13日
三井住友銀行が新たな人事制度改革導入を始めると、6月の日本経済新聞が報じていました。具体的には、「年功序列制の廃止」「役職定年の廃止」「高度専門人材への厚遇(年収5千万円)」「20歳代若手社員の抜擢(年収2千万円)」「転勤への選択権」などが挙げられてます。目的は優秀な人材確保ですが従業員全体の処遇が底上げされる訳ではないようで、外資系のような成果主義的要素が組み込まれるのだろうと想定しています。
編集人の大学時代には、大手金融機関といえば新卒入社の花形人気企業であり、MBA留学など当然のように行われていました。最近は低金利政策や人材不足などから収益性が落ち込んだ時期があり、店舗の統廃合、通帳有料化、ATM台数の削減などが進められていましたが、昨年は好決算の金融機関が続出しました(コロナ融資は実質的に全額政府が債務保証していました)。しかし超就職氷河期(1993~2004年頃)に辛酸をなめた世代は既に50歳代に突入しており、後期高齢者と厚遇される若手に挟まれた世代間格差が拡がること(決して少子化問題と無縁ではありません)になるように思えます。実際にどの程度まで他企業の人事制度に影響するのかは想像できませんが、大きな流れとなることは間違いなさそうですね。
一方で、リスキリング等による労働力市場の流動化が盛んに議論されています。この先70歳まで実質的に定年が延長される法整備が進む中、所得に占める社会保障費率が下がることは考えずらいですから、ますます日本人の報酬・生活レベルが二極化していく可能性は否定できません。編集人も難病による退職がなければ今年定年を迎えることになっていたのですが、業務内容が特殊であることからあと数年は年収の大きな減額は無いと見込んで次の生活設計を考えていたのも事実です。幸い、症状が出始めて以降、妻と相談しながら徐々に生活レベルを落としていったことが奏効して現在に至っています。