オフィス鴻

国産旅客機開発事業

2024年08月17日

経済産業省が新たに官民一体で次世代国産旅客機開発に取り組むと発表しました。三菱重工業が2008年から取り組んできたMSJ(三菱スペースジェット)は、初飛行には成功したものの、安全性を担保する型式証明が取得できず、度重なる納入延期を経て2023年に撤退が決定され、現在ではホンダジェットと次期戦闘機(日英伊共同開発)プロジェクトが残された開発事業となっているようです。実際に、1970年にエアバス社が設立されましたが、ボーイング社に肩を並べるまでには約30年を要しています。また、世界でトップシェアを誇ったボーイング社でもB737型機の事故多発による生産凍結、品質不良の内部告発等が相次ぎ、業績悪化に歯止めがかからない状態のように見えます。

つまり、旅客機開発には多大な経営資源(人材・初期投資など)と厳しい安全性担保(先の型式認証)の両方をクリアする必要があり、そのためには長期的な視点から事業を推し進める体制とマーケット分析(YS-11は商業化で躓きました)、国際的な企業連携など大きな壁が立ちはだかっていると言えます。今回は旅客機開発製造に焦点を当ててみましたが、トヨタをはじめとした自動車産業でも主要マーケットでの情報管理不足による品質管理上のトラブルが露呈したばかりです。また、新規事業開発プロジェクトでも同じような課題があり、プロジェクトリーダーによって成否が左右される面は否めません。

それでは、プロジェクトリーダーに必要とされる資質とは学術的に一体何があるのかは専門家(学者)にお願いすることとして、もし読者がプロジェクトリーダーを任されたとしたならば、どのように行動するべきなのか、編集人なりの考えを纏めてみました。①物事の本質(事実)を見抜く洞察力、②失敗を成功の糧にする忍耐力、③困難な壁を乗り越える胆力、④他人の考えを受け入れる人間力、そして⑤敵を味方にするしたたかな交渉力、の5点を挙げてみました。そして、強靭な精神力だと考えます。