オフィス鴻

2024年対策の後始末

2024年07月31日

昨年からヤマト運輸の選択した様々な施策に綻びが出て混乱した状態にあると集英社オンラインが記事を伝えていました。以前のブログでも今年1月に行われた全国のクロネコメイト従事者の業務委託契約終了に関する課題に対する私見を述べましたが、今回は宅配便の本丸である宅急便ドライバーに関する記事であり取り上げることにしました。記事では、現場ドライバーの利益効率化(編集人には何を指しているのか想像がつきません)のためにクール便専門の配達部隊(CD;クールドライバー)を設置して、一般貨物と分業する体制にしたところ現場から批判が殺到したという内容で、既に同制度に対する方針転換(組織解体)が行われていると言います。

同社の公式見解は「回答は差し控えます」とのことで本当のところは分かりませんが、最近の同社に対する報道を見ていると、過去のヤマト運輸とは違う方向に経営のかじを切っているように思います。記事では都内23区内にある一部の営業所で配達範囲が拡がった結果、時間指定・駐車場所・解凍トラブルなど配送品質が低下しているだけでなく、夕方~夜間指定の配達希望に対応していた頃に比べて同じ事業所内の常温帯配達員(SD;セールスドライバー)との時間外手当の差が数万円(収入減少している)あると言います。もちろん、労働時間規制の影響は同社に限らずどの運送事業者でもあり得ることで、そのために顧客(主に個人客)への度重なる値上げやトラックGメンが設置されたことを鑑みれば、従業員に対してもう少し丁寧な説明をするべきだと思われます。

一方、熱中症で倒れた通行人をヤマト運輸の従業員達が救ったことについて「地域のみなさまの安全・安心確保は重要な責務であり、地域社会より愛される存在となるように努めます」とした広報の対応は、従業員の安全・安心は置き去りにされているようにも思えます。年に数回ある繁忙期もこのような素晴らしい従業員の努力の上に成り立っていることを考えれば、もっと検討の余地はあったでしょう。