オフィス鴻

線状降水帯

2024年10月02日

今年の夏は西日本を中心に線状降水帯が原因と思われる水害や崩落事故が発生して、尊い人命が失われました。ここ10年程過去に例のないレベルで地球温暖化の影響は世界各地で確認されており、考え方次第では自然が人類に警告(大災害の予兆)しているとも捉えることが出来ます。線状降水帯と言う言葉自体もここ数年で一般的に使われる気象用語であり、気象庁の定義では「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなし(中略)、数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度の強い降水をともなう雨域」とされています。簡単に言えば、「大雨をもたらすおそれがある発達した積乱雲群による線状の雨域」となるでしょうか。

「線状降水帯」という言葉は、2014年に広島県の山間部に近い住宅地で大規模な土砂災害が多数発生した大雨で上流部から土石流などが押し寄せる様子が報道された頃から使われています。今年も梅雨入りが遅く、松山城址での土砂崩れでは既に城壁のひび割れが1年前以上から確認されていたそうで、行政の対応の遅さが犠牲者を出す結果となりました。編集人の居宅周辺でも急傾斜地(災害危険区域に指定されている場所等)に大規模なマンションが20年ほど前から幾つも建設され、また戸建て住宅・賃貸集合住宅の中には雨が降るたびに歩道にまで大量の水が流出している物件も見かけます。元日に大きな地震のあった能登地方も、今度は9月の大雨で崖崩れが相次ぎ、復興最中で再び大災害に見舞われました。

また、直接的な因果関係はないと思われますが、異常気象と住宅地開発により野生生物(クマ・シカ・サルなど)による人への被害も多く報告されています。おそらく、山間部等でも何らかの異常気象による生態系への影響(エサの不足など)が起きているのでしょう。生成AI技術やドローン技術などの科学発展が、自然と人命を守ることが出来ることを祈るばかりです。