オフィス鴻

キャッシュレス手数料

2024年09月02日

今年7月の新日本銀行券発行で、飲食事業者等が機器入替に数十万円の費用がかかると報道されました。更に同月公正取引委員会がアメリカのクレジットカード決済における国際ブランドであるVISA日本法人に対して独占禁止法違反(不公正な取引方法)の疑いで立ち入り調査を行ったそうです。飲食店の中には人件費削減・現金管理の煩わしさから解放されるため自販機設置を進めキャッシュレス化の方向にありましたが、昨今の円安による物価高(原材料・食材の高騰)が追い打ちをかける形で業績が悪化している事業者にとってカード使用手数料(3%程度)の負担が重いことは想像に難くありません。

今回の事案は、日本経済新聞によればインターチェンジフィー(IRF)と呼ばれるクレジットカード会社間で発生する手数料について、VISA社が他のカード会社に対して同社の照会システム(利用限度額、不正使用など)を利用と、IRF決済手数料の値上げを求めたことが公正取引委員会が問題視したとありました。最近は現金決済のみでカード決済していない、または使えるキャッシュレス決済カードが限定されている事業者を見かけることが若干ですが増加したように感じるのは、その影響かもしれません。中間流通事業に関連するコラムでも未だに不合理な取引商慣習が多く残っていることをお伝えしましたが、様々な業界特有の商慣習により新規事業者の参入障壁となっている例はたくさんあります。今回の事案もその一つだと思われます。

そう遠くない将来(10年後~)に日本でもキャッシュレス社会が更に拡大していくものと思われ、日本人の現金信仰(最近はタンス預金等の詐欺被害が増加しているそうです)も徐々に変わっていくことでしょう。また、若い世代の方の中で昭和ブームが再来していることやマッチングアプリ(お見合いに近い機能)による婚姻数が増加傾向にあることなどを鑑みれば、核家族化等による希薄になりつつある人間関係のあり方が見直されてきたのかも知れませんね。