オフィス鴻

ヒューマン・エラー

2024年09月23日

今年1月、羽田空港で発生した航空機衝突事故の事故検証が行われている中、今度は7月に東海道新幹線の保線車両脱線事故が発生しました。日本の誇る公共交通サービス・技術面での劣化が始まっていると言われて久しいですが、航空機事故ではその後ハインリッヒの法則(重大事故の至るまでのヒヤリ・ハット)に該当するような複数の軽微なトラブルが国土交通省の事故調委員会等の調査で判明しました。そして監督官庁である航空局の打ち出した緊急対策でも、なかなか現場の声が反映されていないという有識者もいます。東海道新幹線もブレーキが500m手前から効かなくなったのが原因とされ、戦後造られた公共インフラ(特に道路等の老朽化)の再整備・高度化が必要な時期に来ていると感じています。

子供のあこがれの職業の1つであるパイロットの中でも規律違反(乗務前の飲酒検知など)による運航への影響(欠航・遅れ)があることを考えれば、明らかなヒューマンエラーをAI等の最新技術でカバー・代替したとしても完全に防ぐことは困難なのかもしれません。そして、日本を守る自衛隊でも事故や不祥事が次々と発覚して海幕長の辞任にまで至りましたが、究極的には隠蔽可能な状態を解消するには、通報者保護法を正しく運用できていない(または故意に運用しない)ことが背景にあると考えています。これを単なる人員(人材)不足の問題とすり替えてしまうことは容易ですが、編集人は航空会社だけでなく国土交通省航空局の組織統制の欠陥の表れだと考えています。

もう1点、4月に海上自衛隊回転翼機墜落事故があり、伊豆諸島沖で水深6,000mで発見されたとの報道がありました。事故原因についてはヒューマンエラー(誤認・連携不足)と結論付けられているそうです。また、沖縄近海で発生したアメリカ軍航空機墜落事故では最後の1人の犠牲者が見つかるまで捜索が続きました。国民性や考え方に違いはあるにせよ、何か正しいのか、間違っているのかを客観的に見る心眼が問われているのだと感じます。