オフィス鴻

フリーランスの働き方

2024年09月09日

企業が業務委託契約(特にシステム・IT系)への切替を従業員に打診することがあります。大抵の場合、若干年間所得が増加するケースが多いのですが、本当に企業・従業員にとってのメリット・デメリットになるのか十分に検討してから判断する時間を持つようにしたいものです。メリットとしてはある程度まで自分の裁量の範囲で仕事が進められ、他社の案件も引き受けることで所得が増える可能性があることです。一方、デメリットは契約更新されない可能性があること、社会保険料負担の企業負担部分(約10%)を負担する必要があること(簡便的には自己負担額が2倍になります)、つまり無期雇用と異なり若干の報酬増加だけでは金銭的負担が増えて実質減収となることが殆どだからです。

フリーランスは労働法上では労働者とは見做されない(11月から「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案(フリーランス法)」が施行されます)ため、企業側は人件費削減や長期雇用リスク(固定費化)、最新技術への対応などの面で余程高い業務レベルやスキルを兼ね備えている人材でない限り(中には経歴詐称や質の良くない紹介エージェントなど)、その契約が長期間続く保障はありません。編集人は労働者(従業員)として社会保険料を納めてきた(退職時に1回だけ国民年金に加入しました)ことで、難病治療期間中も健保から傷病手当金、障害基礎・厚生年金、障害年金遡及分(5年)を受給することができました。その他にも休職期間満了後も失業保険給付や身体障害者手帳(2級)として医療費の減免等も併せて受給することが出来、約3年間はそれまでの所得水準に近い報酬を確保でき、大変ありがたく思っています。

また、11月から労災保険への特別加入が認められるようになります。様々な事情からフリーランスという選択肢を検討できることは、所得が大幅増加する期待度が上がることと背中合わせで個人の責任が重くなることも意味しているのです。