物流施設の空室率
2024年10月06日
不動産大手のCBRE社の発表資料によれば、首都圏の物流施設の空室率は10%弱で特に圏央道より外側のエリア(国道16号線の外側)では多くの大規模物流施設が建設または竣工予定だそうです。また、実質賃料相場は4.5千円/坪と最近の物価上昇を考えれば上がっている印象は薄いものの、新規建設計画も今後減少傾向にあることから需給関係は締まっていくあろうと予測していると言います。一言で物流施設(倉庫)と括ってしまうことは間違った現状把握認識へと誘導してしまうリスクがあり、借主が求める条件は賃料以外にもリードタイム・高機能設備などがあります。あと数年後にはロボット化による省人化がかなり進むことが予測されており、人手不足問題は若干緩和されるでしょう。しかし、意外と知られていないことに、実運送事業者の輸送能力減少と最新物流施設との間には未だ大きな障壁があることが挙げられます。
ECプラットフォームの拡大によって小口配送(宅配;ラストワンマイル)が増えている現状はあっても、既に多くの運送会社がドライバー不足と働き方改革から実際に採算性をクリアして稼働できる業務以外からは徐々に撤退が始まっています。その原因の多くは荷主・積込先・納品先に起因しており、編集人の専門研究分野である「中間流通機能を誰が担うのが最適なのか」という大きな課題と重複しているのが実は物流施設に関連していることは国やシンクタンク等でもかなり詳細に把握しています。そのため、トラックGメン・下請Gメンの設置以外にも、運送事業法・労働基準法など広範な関係法令が細かく改正・施行されるようになってきました。
ただ、旅客運送(タクシー・バス)と貨物運送(トラック)は適正料金の維持という観点では同じドライバー不足であっても許認可における裁量内容が異なります。トラック運送事業では過当競争(多重下請構造)を料金面から支える仕組みが脆弱であり、物流拠点での付加作業がその典型例であるように思います。