オフィス鴻

訪問在宅医療

2024年11月27日

企業が福利厚生の一環として在宅医療を行う機関と契約を締結し、従業員やその家族が急病となった時に診療してもらえる在宅医療サービスが拡大傾向にあります。編集人が勤務していた企業でも導入されていましたが、コロナ禍では殆ど電話がつながらない状況だったと当時の同僚から聞いたことがあります。在宅医療にもそのサービスの違いにより大きく分類して2種類あります。1つ目は「訪問診療」で外来治療が難しい患者を計画的・定期的に医師が自宅へと訪問して診察・治療等を行うもの、2つ目は「往診」で救急要請するほどではないものの容態の急変など突発的な事態が起こった時に、患者や家族からの要請を受けて医師が自宅に訪問するサービスです。つまり、緊急性や診察の頻度によって呼び方が異なると考えて良いでしょう。

また入院治療は必要としないけれども通院の難しい高齢者の方や、通院に付き添う家族にとって在宅診療は負担を大幅に減らしてくれる診療方法であり、大学病院等での長時間に及ぶ診察待ち(最近はかなり短縮されたと感じます)や混雑緩和の点からも、主治医と相談して選択できます。ただ、そのようなメリット以外にも患者宅で診療を行うため、身体的・言葉の暴力といった医療関係者へのハラスメント行為が起きやすいといった在宅医療ならではの課題も指摘されています。編集人が週1~2回利用している訪問リハビリスタッフも、セクハラや担当者変更への不満などから様々なハラスメントを受ける例もあり、度を超えた行為に対しては当該患者宅への訪問をお断りすることもあるそうです。

ただし、医師法では応招義務(正当な理由なしに診療を拒否できない)があるため、最終的には医療関係者と患者の信頼関係の上に成立する医療行為であるとの見解が厚生労働省通達や地裁での法理(判決)が出されています。数年前には往訪医が患者の家族から散弾銃で殺害されると言う痛ましい事件がありました。患者や家族の不満・ストレスが医療関係者に向けられないようにしたいものですね。