ドラッグストアの新戦略
2024年10月30日
30年以上前から新小売業態としてDRS(ドラッグストア)が誕生しました。最近のドラッグストアでは、医薬品以外に日用品・食品・系商品等までラインアップされており、SM(スーパーマーケット)やCVS(コンビニ)と同じような品揃えが主流です。また、調剤薬局を併設する異なる運営母体のDRSがすぐそばに出来るなど、全国に約5万店あるCVSと同2万店あるDRSが乱立している状態です。編集人の住んでいる最寄り駅近くだけでもCVS・SM・DRSで20件近くあり、それだけ商圏があるということを表しているようです。もう一つのDRSの競合は薬局(院内処方を除く)ですが、これはCVSを上回る6万店あると厚生労働省の資料にありました。
薬局の開業は旧薬事法では設置場所に関する距離制限規定(半径100m以内)がありましたが、1975年の最高裁判決で距離制限を違法とする判決がでました。ポイントは、不良医薬品の乱売・乱用は行政側で対応可能としたことで、国民の生命が害されることは無いとの判断によるもので、調剤施設併設型DRSが進出するきっかけとなり、また大学病院等の傍で営業する門前薬局(殆どが大学病院の患者で占められている)の増加に繋がったと考えられています。その理由として薬剤師確保の難しさがあり慢性的な医薬分業による不足感(大学6年制、有効倍率4倍以上)の背景には30歳代で収入が頭打ちになるケースが多く、製薬会社等への就職を選択することが挙げられます。
また、多様な商品を扱うDRSでは、医薬品購入動機を客引き商品(日用品・食品の廉売等)で集客していくことに求めるカテゴリーミックスに代表されるような収益構造変化に対応する必要があります。つまり、商品全体で収益バランスを取るために、改正薬事法や競争相手の参入により業績が鈍化した中小規模DRS事業者のM&Aが買い手・売り手両者にメリットがあるため盛んに進んだと考えています。