オフィス鴻

福島原発のデブリ採取

2024年12月05日

今年9月から東日本大震災で爆発事故を起こした福島第一原発2号機内の燃料デブリ(原子炉内に溶け落ちた核燃料)取り出し作業が2011年から13年を経て開始されました。実際に取り出される量は数g程度とされていますが、試験的取り出しの最大の意義、東電および協力企業が将来の本格的な取り出しに向けて実戦経験を積めることにあると言われています。具体的には、密閉された原子炉格納容器から取り出したいものだけを取り出すという作業であり、当然ながら作業従事者が過度な被曝をしないことや、放射性物質を含んだダストの飛散で新たな災害を引き起こさないことなどです。実際に燃料デブリは福島第一原発内で約880トンあるそうで、その形状は想像の域を出ないそうですが、少なくとも原発事故がどのように進んだのかの解析にも相当の時間がかかるそうです。

この事故以降、世界中で脱原子力発電へのかじ取りが進みましたが、環境問題(Co2)だけでなく再生可能エネルギーと比べて経済性が有利(安価)やウクライナ紛争でロシアからの化石系燃料の調達がヨーロッパ諸国で滞ったことなどから、再び安全性の高い原発新設の動きもあるようです。そのような世界的情勢の中で、取り出したデブリを運搬、保管、分析するという一連の作業経験が積めることで、日本では安全な電力エネルギー源として原子力規制委員会から再び再稼働が認められる原発も出てきました。一方で、耐用年数が40~50年と言われる老朽化した原発の今後の在り方(解体等)にも、今回の技術的実践経験が役に立つだろうと考えています。

また、各国にある環境NGO(非政府組織)のネットワークが形成される中でもドイツは欧米諸国の中で真っ先に脱原発を決定しました。そこには、多額の税金がNGO側に支援されている事実があり、行き過ぎた政策や過剰な保護は癒着構造や汚職の温床ともなり得ます。福島原発事故の後処理にあと何年かかるのかは不明ですが、次世代に禍根を残さないようにするのが今生きている世代の努めだと思います。