オフィス鴻

人材紹介業の裏側

2024年12月19日

厚生労働省が今年9月に職業紹介事業者に対して禁じられている転職祝い金について、規制強化する旨の通達を出しました。内容をまとめると、求人側の企業が支払う手数料(紹介料)の職種別平均率の開示を義務付けること、転職後2年以内に再度転職勧誘行為をした場合免許を取り消せるようにすることとしています。その要因として人手不足が顕著な医療・介護業界では厚生労働省の調査で全体の6割に当たる事業者で法令違反があり、なかには禁止されている祝い金の代わりに旅行券を支給するケースもあったそうです。通常、転職エージェントが受け取る手数料は転職先での勤続期間により異なりますが、概ね年収の30%と言われています。しかし、最近の転職ブームと人手不足により紹介会社が急増しており、その中には売上(手数料)を増やすために、何度も転職を勧めるようなモラルに反する相反行為をする事業者もあります。

特に介護職の人手不足は顕著で、高額の紹介手数料が事業運営を圧迫していることが知られています。当然、民間事業者ですから利益を上げなくては事業継続が困難になるため、やむなく高額の手数料を支払ってでも人員確保する足元を見て、就業希望者に何度も転職を勧める紹介会社(エージェント)はいずれ淘汰されていくことでしょう。職業紹介事業そのものは、労働法制が改定されていく中で労働力移動を促す支えとなるものですが、医療機関ですらコロナ禍後に患者が戻らずに倒産(廃業は含まない)するケースも増えています。これまでは、慢性病(高血圧など)でも医師の指示により2週間分の薬しか処方箋がもらえないのは、月2回の初診・再診に係る診療報酬目当てだとして是正が進められてきましたが、今回は病院に行かなくても特に問題がない方の医療機関受診が影響しているようです。

結局のところ、不必要な受診をしないことは、転職でも同じことが言え、最終的には本人の自覚次第と言うことでしょう。少し考えればわかることですが、何となくその場の風潮に流されないよう留意したいものです。