オフィス鴻

物流コストの考え方

2024年11月24日

物流ビジネスではターゲットを絞り込んでいく上で、有価証券報告書や企業調査データから物流に関する情報を正確に把握するのは非常に難しい作業です。特に企業毎に財務会計の勘定科目が異なっていたり、売上原価・販売管理費等に物流費が含まれていることが多く、他の諸データと照合しながら管理会計をベースに推測していくのが最も理に適った方法だと考えています。多くのケースでは日本ロジスティクスシステム協会や全日本トラック協会、国土交通省等が発表した統計資料などから抜粋して来るのですが、母集団が異なるため有効値を探り当てるような作業になることが殆どです。日本では概ね製造業~卸売業に於ける対売上高物流費比率は5~10%とされていますが、あくまで目安であり無理やりその枠にはめ込む必要はないと思います。

30年前には物流費は「第三の利益源」と言われ、多くの企業が物流子会社を設立して実質的にそこに取扱手数料(マージン)を落とすことで、親会社の販管費・一般管理費等の一部を負担させる動きが活発でした。実際に倉庫設備等は償却によって節税を図ることができ、作業人件費は殆ど最低賃金+αで賄うことができていたため、必然的にIT化が進むまでは運送費が大きなターゲットとして、供給過剰であったトラック業界内で競わせることで頻繁に運賃値下げが行われ、「運送2024年問題」の解決を遅らせてきた経緯があります。特に40%前後と言われるトラック積載率(重量・容量ベース)を上げるために、運送会社に荷役作業等まで無償で行わせることで帳尻を合わせていました。また、納品後の帰路は空車となる場合も多く、ここに利用運送(マッチング)や低料金業務が介在する余地がありました。

実際に運送費を適正化するには、まずは全体像とイレギュラー業務の把握から始めて、ABM(アクティビティベースドコスティング)による1商品あたりの運送費算出、配車情報の一元管理、トラック稼働時間ベースの時間当たりコスト基準の設定を行うことが有効です。