オフィス鴻

映え狙いの飲食店

2024年12月14日

最近のグルメ番組では、あまり知られていない個性的な個人経営飲食店(これまで取材拒否していたことが多い)を紹介したり、大盛や激辛チャレンジなを売りにすることが増えているように感じます。編集人は飲食業界へのアドバイザーも行っていますが、その中で最も重要視しているのは経営者(オーナー)の経営・料理に対する真摯な姿勢と、質の良い常連客(リピーター)の獲得です。もし、一時的に集客したいのであれば一般人を含むSNSやインフルエンサー等を活用すれば映え好きな興味本位の一見客は増えますが、中長期的には常連客を満足させられるような経営方針を貫いている飲食店の方が安定した経営を行っていることに気付きます。

代表的な飲食店評価を行う東京版ミシュランガイドには500を超える飲食店が紹介され、地方版も次々と発行されています。中には数年先まで予約が入っている店舗もある一方、理由は明確ではありませんが店舗を移転したり、廃業する事業者もあると言います。あくまでも想像に過ぎませんが、一見客のマナー(無許可で料理を撮影する、最もおいしいと感じる状態での料理提供が無駄になる、周囲への気配りがないなど)の悪い面も、結果的に常連客が求める店舗の雰囲気・居心地の良さなどがおざなりとなり、店から離れていくサイレントキラーになっている可能性もあると思います。デジタル技術進化による新たなマーケティング手法導入は画期的ですが、日本の食文化は多様性に満ちており、客側の視点でSNS等にネガティブな評価がされてしまうことへのリスクヘッジも重要でしょう。

最近では飲食業に限らず、SNS等に上げられたフェイク画像・事実でない評価が事業継続の大きなリスクになってきたことはご存知だと思います。一時的に稼ぐだけのビジネスモデルならば問題が世間に知られる前に撤収する選択肢もありますが、多くの従業員を抱える事業者にとっては死活問題になりかねません。究極的には他に代えがたい商品・サービス提供がその事業者の社会的価値を決めるのだと考えています。