オフィス鴻

イートインスペース

2024年12月15日

かつてファミリーマートが中核戦略として採用してきた店内購買商品の「イートイン戦略の方向性」に変化が生じてきました。 昔のコンビニには窓際雑誌コーナー(現在は殆どの雑誌が紐掛けされて中身が見えないように加工してあります)が設けられ、一種のたまり場的な独特の雰囲気を醸し出していました。その後、店内調理品(総菜・ソフトクリーム・ドリンクなど)や弁当・パン類を昼休み休憩等に店内で食べられるように改造したり、携帯電話・スマホ用の電源タップを設置するなどサービスの拡充を行っていましたが、最近はイートイン設備そのものを撤去して新たな用途を模索しているように感じます。

それぞれのコンビニ各社では個性的な消費者志向を敏感に反映しており、商品やサービスによって店舗を選ぶ楽しみもありました。特に、合従連衡によって、同じような商品構成と本部ロイヤリティ維持・オムニチャネル化(アプリ等による多様な消費構成)が進んだことで、現在セブンプレミアムを中心に独走状態のセブンイレブンでもフランチャイズ契約(全体の9割以上)や容器の底上げ問題など内部に複雑な課題を抱え、また外資系同業者からの買収提案に晒されるなど、コンビニを巡る事業環境も大きく変化しています。さらに1店舗当たりの日収はセブン&アイグループが約70万円と同業平均の55万円を大きく引き離していますが、ネットスーパー事業では2年間で500億円の累損を抱えて撤退するなど、他販売チャネルとの総合効果もイトーヨーカ堂の切り離しを検討するまでに深刻化しているように編集人には見えてしまします。

さて、本論に戻ると書籍販売には再販売価格維持制度があり、売れ残れば取次店に返品することが可能です。しかし、書籍販売の減退により取次店の廃業も増加している現状を鑑みれば、イートインコーナーでの売上げ増加効果以上に、利用者側のマナーの悪さが廃止の経営判断を早めたとも言えそうです。他のコーヒーショップ等でも同じですが、本来は仕事をする施設ではないことを受け止めるべきでしょう。