オフィス鴻

混載便と共同輸送

2024年12月25日

複数の荷主から集荷した貨物を共通の運送事業者トラックに積載して同じ方面へと出荷配送する取り組みが、メーカー同士が手を組んで始めています。運送2024年問題への対応策では、必ず改正基準告示とドライバーの高齢化問題が絡み合い、様々な制約条件の下での施策実行には各社各様のメリット・デメリットがあることはご承知の通りです。実際に、物流事業者が業務委受託に際して一番先に考えることは、利益が確保できるかにあります。換言すれば、得意先(荷主)の意向があれば物流事業者は無駄な工程だと認識していても適正料金が得られるのであれば敢えて改善策を積極的に出す必要がないとも言えます。

実際に2020年の国勢調査によれば、就労可能人口(生産年齢人口)は2020年で75百万人、2032年には70百万人と予測され、さらに2040年位は60百万人、2070年には45百万人になると推測されています。その中には、今年の国会で審議された103万円の壁が125万円程度に引き上げられることが含まれますが、結局は増税・社会保険料負担増とセットになっているため、特に中小事業者の経営は厳しくなると予測されています。いずれは、国民間の不公平感は徐々に解消される方向にあるものの、人生100年時代の到来を考えれば70歳を過ぎても自助努力で収入補填するのか、または国がベーシックインカムを年金に上乗せすることもあり得ると考えています。ただし、労働力不足問題とは別の視点を含めて更なる議論が進むでしょう。

表題の混載便・共同輸送についても、仮にドライバーの給料が上がったところで求められる業務水準に達していない新規採用で補う・代替するとすれば、結果的に品質低下を招くだろうと考えています。また、高速道路に隣接した自動物流道路(スイスでは実用化されています)を活用した中長距離輸送が研究・検討されていますが、そのそも人口減少により消費購買力が少なくなることを鑑みれば、費用対効果の面でもメリットは多くなく、SDG’sの一環としてなら意味があるように感じます。