フライングドクター
2025年02月05日
人口の大多数が沿岸部の都市に集中している都会化社会のオーストラリアでは、昔から内陸部に住む人々への医療サービス体制脆弱で医師不足が指摘されてきました。この問題を解消するために生まれたのが、フライングドクター(Royal Flying Doctor Service:RFDS)システムで、内陸部以外でも都市部から離れた場所に住む人々へと対象を拡げることでオーストラリア全土の健康水準は著しく向上しました。現在では同様の取り組みがアメリカ・ヨーロッパ・日本など世界各地で行われており、医療・航空・リモート通信等を駆使した様々な形で住民の健康管理・緊急医療等のサービスを提供しています。実際にオーストラリアの人口は2.6百万人、国土面積は日本の20倍もあるため、今後は小型機やヘリコプター以外にもジェット機を使った医療提供も検討されているそうです。
運営は非営利法人ロイヤル・フライング・ドクター・サービスが行っており、原則保険限度額を超えたり無保険旅行者など誰でも無料で医療提供を受けることが出来ます。ただし、Wi-Fi等の信頼性の高い通信環境(短波)がなければ、広大な国土でのサービス提供は難しいと言います。日本の夏山登山でも富士山は非常に外国人観光客に人気がありますが、今年から山梨県側で入山料(2千円)の徴収が始まりました。ただし、未だに軽装備や弾丸登山、シーズン外での登山客もおり、途中でケガや高山病に罹り救助隊の援助が多発している現状も少なくないと言います。中には、登山道脇で寝袋で一夜を過ごす登山者もいるようで、5合目付近の登山道入り口で地元有志が啓蒙活動をおこなっている傍でも無視するマナー違反の例が報告されています。
因みに日本の航空医療はドクターヘリがメインで、医師・看護師が同乗して事故現場に赴くのですが、莫大な運用費用がかかります。ことし、「ドクターヘリの全国配備を目指す特別法案」が可決されましたが、今後は離島部への医療支援(全国10か所)以外への普及が進むと思われます。