オフィス鴻

日本郵便の今後

2024年12月24日

今年10月に30年ぶりに郵便料金改定が行われました。近年のデジタル化に伴い稼ぎ頭であった年賀状の減少、メールサービスの増加が主要因ですが、企業が電子取引等の業務効率化を進めれば更に郵便物自体が減少していくことは容易に想像できます。元々、赤字が続いている郵便事業では現場従業員の質の低下が顕著で、編集人宅のポストにも無理やり郵便物を入れたためカギが壊れたり商品が破損していることが年数回あり、都度日本郵便へ改善要望と修理費負担を求めています。配送品質の低下は正規社員から非正規社員へと切り替え始めた頃から始まっていて、現行の郵便法と時代の要請が合わなくなってきたことを主起因していると示していると考えています。

一方で、人間の眼では識別できない自動郵便仕分け機によるコード印刷が一般郵便物にもなされており、また郵便物の追跡も容易にできるようになったことは利用者にとって大きなメリットとなりました。また、集配機能局(約3千局)が配達業務を委託する運送事業者(個人契約者を含む)情報の共有化が遅れている様子で、民営企業ノウハウを活用できるものはまだまだ取り入れる価値があるように思います。しかし、郵便物の配達放棄が「量が多すぎて配達しきれない」などの理由で時折報道され全国各地で起きていることを鑑みれば、他の宅配事業者と業務提携しても生産性向上以前に品質低下問題に対応する必要があると考えています。

今後は通販サイト等のダイレクトメール・カタログ郵送は安い方式(他事業者への委託先変更やアプリ導入等)へと流れていくことが想定されます。しかし、自治体からの各種通知書発送は行政事務効率化の観点から考えれば再考の余地はあるものの、管轄するのは総務省であり財政削減面と実行施策に矛盾を引き起こす可能性があります。企業側も電子契約への切替によって契約業務コスト削減(印紙税もかからない)する動きがありますが、中小企業での導入には金額面でハードルが高いことも事実です。