オフィス鴻

続・障害者ビジネス

2025年01月24日

障害者の法定雇用率の引き上げに伴い、各企業の対応が大きく分かれてきました。具体的には、①障害者雇用枠の整備・拡充、②納付金(罰則金)を支払ってでも雇用しない、③農園での作業等を中心とした雇用代行サービスの台頭です。法定雇用率を達成している企業は日本全体では約50%程度で、この問題に対応するため既に1千社以上が雇用者数の数合わせのために③の代行サービス(約30社)を利用していると厚生労働省の調べで明らかになっています。実態は委託元企業の事業内容とは全く関係のない農園作業に従事するなど、単純な数字合わせの面も否定できません。前ブログでも障害者向けの業務切り出しが難しく、管理担当者の負荷が高い点を編集人は指摘しました。

厚生労働省側の施策の隙間を縫うような雇用ビジネスは、法定雇用率改善未達企業名が公表されることから企業イメージを棄損することを避けたい企業側の心理を上手く使ったもので、違法ではありません。障害者の働く場を提供する観点では一定の評価は出来ますが、法律の抜け道的側面は否定できず、本業でスキルアップしたい障害者にとっては騙された思いを持つ方も少なからずいると思います。最近よく聞かれる人的資本経営でも、健常者・障害者共に事業に必要な人材であることを経営メッセージとして打ち出している企業の価値(ブランド)として今後注目されるでしょう。

また、障害者雇用促進法が求める「障害者の職務遂行能力を正当に評価すること、適正な雇用管理と能力開発機会を創出する」ことができれば良いのですが、実態は差別に近い最低賃金での雇用や雑務の求人が殆どです。そのため、敢えて障害を隠して応募する障害者も相当数いるようですが、適切な配慮を求められる企業側の負担が大きいことも事実であり、仮に障害年金を受給していても一般正規社員の年収には遠く及ばない処遇が殆どです。編集人も複数の転職サイトに身体障害者であることを明記した上で登録して調べてみましたが、採用企業側の本音は殆どが数あわせのように感じた次第です。