オフィス鴻

中継輸送方式

2024年12月28日

改正改善基準告示が施行されて以降、全ての運送事業者が直面する課題としてドライバーの労働時間短縮問題が挙げられます。詳細についてはこのブログでは記載しきれないため、国土交通省のHPを覗いていただければ概要が掲載されていますのでご参考にしてください。その中で注目されているのが、中長距離輸送に於ける物流拠点を活用した中継輸送方式です。要約すれば、これまで東京~大阪便では拘束時間・休息時間が確保できなくなる可能性があるため、途中の静岡・愛知近辺でドライバーとトラックを交替させ、それぞれ来た方向へと積載してきた貨物とは別の貨物を相互に運ぶ方式を指しています。これにより、1日の拘束時間内で往復できるため、翌日もドライバーは通常通りに仕事をすることが出来るようになります。

しかし、現実問題として中継輸送方式を最適な形で導入するには、東京発と大阪発の貨物量比率が1:1であること、同じ時間帯に中継地点で積み替え等ができること、料金の按分を決めること(因みに東京発より大阪発運賃の方が約1~2割高いです)、車種が限定されること、パレット荷役など、単純なマッチングビジネス(利用運送)とは異なる難しさの壁が存在します。つまり、理論上は全体の10~20%程度(長距離便のドライバー不足率を参考にしました)しか中継輸送対象とならない上に、別途中継拠点での経費が上乗せされてきます。また、ドライバーの給料に占める時間外手当・長距離手当等は賃金規程を改定しない限りは減少することになりますので、輸送業務全体では現在よりも2割程度運賃を引き上げなければこのスキームは成り立たない計算になります。

もう1つの輸送方式として共同輸送方式が取り上げられていますが、これも中継輸送と同様の課題があり、現状では一定の輸送貨物量と収受運賃が確保できなければ「絵にかいた餅」に過ぎない面があることは否めません。最近は各社が挙って共通化モデル・プラットフォームを開発・提供していますが、貨物形状が異なる以上更なる進化が必要です。