危険運転致死傷罪
2025年01月14日
法務省が悪質な運転により他人にケガを負わせる時に適用する「危険運転致死傷罪」の見直しに着手しています。現在の法律では重大な交通事故(死亡事故)や悪質な道路交通法違反等の交通犯罪を起こした運転手が2年以上の実刑判決(裁判で通常過失の範囲であり初犯の場合には、殆ど実刑とならずに執行猶予付きや罰金刑となるケースが殆どだと言われています)を受けた場合、交通刑務所(東日本;千葉県市川市、西日本;兵庫県加古川市)へ収監されることになります。一般受刑者が収監される刑務所と比べて壁が低く自由度が高い交通刑務所ですが、当該交通犯罪が不注意に起因するものなど、誰でも起こし得る可能性があるからだと言われています。
現在の道路交通法では違反点数が6点未満の軽度の交通違反ならば、反則金支払いの行政処分となり、刑事処分を受けることはありません。一方で刑事処分は6点以上の重大な交通違反に科せられる刑罰で、具体的には、酒酔い運転、無免許運転、速度超過(一般道での制限速度30kmオーバー、高速道路は40km)などがあり、裁判所によって「罰金、禁固、懲役」といった刑罰が言い渡されます。現在、懲役刑の上限は7年、危険運転致死傷罪は20年で、これから適用基準の引き下げや適用範囲の拡大が議論されていくことになります。約20年前から被害者(遺族)を中心に厳罰化を求める裁判が起こされ、最近は判例も危険運転致死傷罪を適用したものが増えてきました。
また、昨年から自転車・電動キックボードなどを対象とした道路交通法が改正されました。詳細は割愛しますが、他人が危険だと感じる行為についての行政処分の幅が拡がることは良識のある市民にとってプラスですが、その他にも「歩行者のスマホながら歩き」は非常に危険であるにもかかわらず処罰対象とならないのは、規制する法律が無いためかも知れません。しかし、仮に刑事罰には問われなくても第三者行為による民事責任(金銭補償等)を負いますので、少しでも抑止効果になれば良いと思います。