オフィス鴻

ワタミの物流改革

2024年12月28日

コンビニのローソンと飲食業のワタミは、今年4月から共同物流を開始しましたが、あくまでも実証事件の域を出ない総量です。具体的には、ローソンの弁当・惣菜等を運ぶトラックの空車時間帯を利用してワタミの宅配サービス(介護食)を営業所に届けます。ローソンが1日3回配送から2回配送へと切り替えたことで空いた時間帯(夜間~早朝)の車両を融通する仕組みです。当然、ワタミ側の車両は減少しますが、貨物量の変動による非効率性といった課題も見えています。その他にも、西武グループとオリックスがホテル向け食材の共同配送を開始したり、ソニーと日立、味の素冷凍食品(FLine)とニチレイ(ニチレイロジ)などが同業者を含めた共同配送を開始しています。

しかし、どの業態でもボトルネックとなるのは、伝票に記載された取引情報管理、配送ルートの複雑化、料金分担方法だと言われています。その他、特殊車両仕様を必要とする生鮮食品・医薬品などは既に共同配送を始めているものの、貨物量調整には頭を痛めており、共同配送を行ったものの想定を下回る効果しか得られなかった企業も少なくありません。つまり、共同配送が「運送2024年問題」の切り札にはなり得ないことが逆説的に証明され始めていることになります。もっと直接的な言い方をすれば、製造事業者が共同配送の美味しい部分(コスト削減)を運送業者にも適正に分配してトラックドライバーの処遇を上げていかない限りは、あと10年もすればトラック物流網自体が崩壊していく危険性があると言うことです。

因みに、最近の都心部のタクシー業界ではグループ化が進んだことで無線配車からAI配車、流し運行から予測運行、予約中心の実質値上げなどが奏効して、若い世代が月額40~50万円の収入になったことで、若返りとドライバー不足解消に繋がっています。トラックも同じで、附帯作業料金を含む適正料金収受ができればドライバー不足を解消でき、もっと製造事業者にも理解して頂きたい部分です。