ケミカル共同配送
2024年12月26日
日本の化学メーカー同士で、DXを活用した共同物流が試験的に開始されました。もともとは「運送2024年問題」への対応が発端でしたが、ケミカル製品は一般トラック車両でも運搬できる製品に限らず、タンクローリー、危険物積載許可などが必要な物も多くあります。実際には、港湾地区にあるターミナル工場間(船便で原材料を搬入するため)での輸送から開始されているようですが、自動車の燃費改善・ガソリン給油所の減少・マイクロプラスティック(海に浮遊する細かなプラスチック類)など、業界を取り巻く環境は厳しさを増しています。特にドライバー不足にも増して、給与所の減少(ガソリン等の将棋減少)から輸送量が少量多品種化してきたことで輸送業務に焦点を当てた施策だと思われます。
特にDXと同期化させる試みは、データ標準化(他業界でも同じ課題があります)には多数のセグメントに及ぶ検討・共通化が必要です。編集人も共通フォーマット(プラットフォーム)の必要性を約30年前から提案してきましたが、この段階になってIT技術の進歩と共同輸送を組み合わせることが可能になってきました。ただ、カルテルや供給過剰など商取引に関する課題を1つずつクリアしていく必要があり、総論賛成各論反対の状態はまだしばらくは続くと考えられます。特に各種法令(危険物取扱等)が絡む製品輸送は単純に机上の議論だけでは済まず、某近隣国のように自動車燃料を降ろしたトラックに食用油を積んで運搬することで人体に影響がでる、特殊な化学反応を引き起こすなど、検討課題は多いでしょう。
実際のところは、大手メーカーでさえ実車率(積載率ではなく帰り便を指しているようです)が2割程改善できる見込みとされており、根本的な課題解決にはまだ多くの時間を要すると考えています。一般的には物流資材(パレットなど)の共同利用方式、AIによる配車マッチングシステムの利用が有効だとされていますが、工場内倉庫・物流施設の改善などに多額の費用がかかりますから、物流コンサルが重用されることになるでしょう。