日本郵政の配送違約金
2025年04月15日
やはりと言うのか、やっぱりと言うべきか、日本郵政が関東地区で配送委託先の下請け会社に対して、クレーム等のトラブルがあった際に違約金を徴収していたことが、公正取引委員会の調べで行政指導に至りました。公正取引法(下請法)では、金銭・役務提供を相手方の承諾なしに求める行為を不当としており、今回は「不当な経済上の利益の提供要請」として違約金徴収自体を違法と判断したことになります。直近では、ヤマト運輸との協業破棄を巡って問題となっている小型郵便物ではなく、ゆうパックに関して違約金制度自体の有効性は認められたものの、郵便局ごとに違約金の金額・基準が異なることが問題となったようです。
今回は日本郵政には社名公表を伴わない行政指導であったものの、その社会的影響度等から報道に至ったものと推測されます。今回の行政指導は下請運送事業者への調査で判明したものと考えられますが、郵政民営化以降日本郵政を巡る様々なトラブルが頻発しています。収益性もドル箱の年賀状事業が不調で、さらに全国への配送網維持などのコスト高から個人事業主への配送委託・正社員削減・料金値上げへと舵を切ってきましたが、結局は日本郵政内部で「なあなあ主義的」な体質が続いておりコンプライアンスの観点が不足していたと思われます。また、ヤマト・佐川と比較すると、編集人宅でも日本郵政の配達はトラブルを起こす配達員も多い一方、非常に親切に対応してくれる方も多く、最終的には上層部の現場に対する「思いやり」が伝わっていないと感じることもあります。
今回の行政指導でも今年4月から違約金対象行為の統一・運用が行われるそうですが、天下り的な体質・非正規社員での運用が続くようであれば、いずれ同じような問題が起こると考えています。よく「日本銀行と〇〇(企業名)は潰れることは無い」と揶揄されることがありますが、日本郵政の運用体制を見る限りでは企業としての方向性がブレ始めているように感じるだけでなく、法務部門・経営層の非力さが目立ちます。