人手不足の本質
2025年04月07日
今年も新入社員の研修時期になりました。厚生労働省の統計資料を見ると、事務系職種への応募者は明らかに人余りの状態であることが明らかにされています。逆にこれまで多くの高卒者が支えてきた現業職も大学全入時代になった影響では、人手不足が深刻化しているのが現状だと思われます。つまり、世の中の人手不足は労働需給のミスマッチが起こしていることが推測され、各国でも同様の現象が起きているのが判ります。その現象の1つとしてホワイトカラーとして就職(就業ではない)したものの、3年程度で離職する大卒者が多いことが挙げられます。先程の高卒者の離職率が高かった時代を鑑みれば、それが大卒者に移行しただけのように思えます。
政府が主導しているリスキリングも、現業職を嫌がる方からしてみれば就業の選択肢が狭まるだけのことですから、若年層の失業率が高くなっているのは必然の帰結と言えるでしょう。もちろん、それ以外の要素(生涯賃金・長時間労働等)も関係していますから一概には判断できませんが、人手不足の本質もこのあたりに起因しているように思われます。極論ですが、もし明日の生活が成り立たない(金銭・住居等)ならば、ウーバーやタイミーのように日払い仕事で生活することも可能になった日本社会ですが、大切なのはどのような仕事でも誇りや目標を持って働き、その仕事が好きと言えるまで我慢できない方が増えているのだと感じます。
編集人も実際に現業職の採用戦略に携わったことがありますが、10年前と現在とでは様変わりしている印象を抱いています。その最大の理由は人口減少により毎年新卒者が減少していることにあると思います。そして現業職を採用する担当者自体が応募者と接する能力が不足しているとも考えています。現業職を1年でも経験すれば現業の課題や考え方を理解することに役立つのですが、そのことに気付いていないと人気職種であるコンサルタント(戦略系を除く)でも的確な成果物をクライアントに提供することは難しいでしょう。