インテル社の凋落
2025年04月22日
最近CMを見かけなくなった企業に、アメリカのインテル社(「インテル入ってる?」)があります。同社は半導体メーカーとしてPC・電子機器等に多く搭載されていました。その後はTSMC社(台湾)、サムスン社(韓国)との競争が激しくなり、また有事紛争に対する国家間での政治的駆け引き等もあって一時の勢いがなくなってきているように感じます。現在でも年間売上高が400億ドル以上、従業員数10万人の半導体トップ企業であり、CPU(マイクロプロセッサー)を含む市場占有率は約10%に達しています。しかし、スピンアウトで設立されM&Aを繰り返してきたことから企業文化の融合を必要としていることも事実でしょう。
半導体産業は自社製造が主流ですが、インテル社は外部受託の割合が高く、その点が業績が停滞している一因とも言われます。また、半導体製造技術の進歩はものすごいスピードで行われており、製品寿命も短期化していて価格もすぐに大量生産によって下がりやすい事業構造になっていることが挙げられそうです。半導体産業の発展は各国家での重要な国家戦略製品の1つとなっているため、アメリカ政府も同社への支援に乗り出しています。つまり、戦略物資としての位置付けであることの証でしょう。日本でも熊本県にTSMC社の製造拠点が作られましたが、韓国のホワイト国認定取り消しでサムスン社が日本の周辺物資(洗浄剤等)が無いと製造できないことが明らかになるなど、1国の存亡がかかるような事態になることもあり得るのです。
実際に、アメリカのステルス軍用機(戦闘機)F35Bの重整備拠点がアメリカ・オーストラリア・イタリア・日本に置かれていることも、地政学的な視点も含め国際協調の新たな形に変化してきています。戦闘機は数百万点以上の部品で構成されており、もはや1国が独占して製造・維持するよりもライセンス生産に近い形態が増えています。航空自衛隊の次期戦闘機もイギリス・イタリアと共同開発することが防衛庁からプレスリリースされています。