オフィス鴻

シルバーパスの再考

2025年04月20日

東京都は、高齢者向けに発行している公共交通機関を1年間フリーに利用できるシルバーパスを4割値下げするそうです。目的は高齢者の外出を促すことで健康増進に繋がり、結果的に医療費の削減をおこないたいとのことですが、編集人は何か焦点がぼけた施策のように感じています。一般的に高齢者の健康寿命は75歳前後と言われており、この取り組みで本当に医療費削減に結び付くのか科学的なエビデンスがHP等には掲載されていないことを疑問に思うからです。まだだれもやったことのないことに挑戦することは大切だと思いますが、今回の取り組みは投票率の高い高齢者向けの一種の選挙アピールのように思えてしまうのです。

最近の路線バス乗務員不足で大幅な減便が各地で実施されており、東京都交通局と言えども例外ではありません。東京都のように民間バス事業者に運行委託するだけの財政基盤があっても混雑するバスにさらに拍車をかけることになり、結果として一般利用者が遅延・混雑などの不利益を被る可能性があります。以前のブログにも高齢者のわがままな行動やマナー違反を快く思っていない現役世代が多くいることを記載しました。尊敬され現役世代の見本となるような高齢者の方には大変失礼かとは思いますが、やはりここにも生活格差・精神満足度格差が厳然としてあることを認めた上での施策として見直す点もあるように考えます。

コロナ禍によって、公共交通機関は現役世代の通勤定期券収入が激減したことは良く知られています。その結果、何が起こったかと言えばこれまで当たり前だった便利なダイヤ編成から間引き運行、しいては減便が各地で行われ、その利便性が格段に下がったのです。一つの実例として、杖をついて歩く高齢者の方が、あと数分まてば次の車両が来るのに突然杖をもったまま走り出し、危険な駆け込み乗車をしている場面に何度も遭遇しました。ヘルプマークを付けている方にも同じような行動をされる方を見かけます。最終的には、人間性が表れることで自らの生き方を晒しているように感じます。