高額療養費の有難み
2025年05月22日
高額療養費制度の自己負担額が値上げされることが検討されています。高額療養費制度とは月額賃金(所得)を基準として(ア)~(オ)までの5段階となっており、所得に応じた保険料負担額(現役世代は3割負担)の上限を超えた分は国が負担してくれる制度です。例えば、年収1,100万円(月額標準報酬80万円程度)なら月額25万円まで自己負担、最も多い年収370~770万円の方であれば月額8万円までの自己負担上限となります。因みに、食事代やその他保険適用外となるものもありますので留意が必要です。また、多数該当といって1年間に4回以上入院治療する場合には、更に国が一部負担してくれる制度もあります。
その様な検討が行われる中で、一部政治家や患者団体などが「負担額が増えると、治療自体を諦めざるを得ない可能性がでてくる」として反対しています。編集人も難病治療による医療費自己負担が年間200万円を超えたことがあり、家計を大きく圧迫する要因になったことは否定しません。ただし、健保組合から支給される傷病手当給付金や掛け捨て型の安価な保険(共済など)を活用して有料個室料以外はほぼカバーできていました。諸々の事情で保険に入っていない方にとっては大きな問題なのかもしれません。しかし、考えようによっては1ヶ月数万円でレベルの高い保険治療が受けられる日本の医療制度は世界でも群を抜いたものです。ここでは感情論や政治の票とは関係なしに今後現役世代が減少していくことを鑑みれば多少の引き上げはやむを得ないように思われます。
問題は、病院を宿泊施設のように使う方の存在が医療財政を圧迫している一因であるように考えられることです。入院していると、明らかに自宅に戻したくない家族が退院日を何とか引き延ばそうとソーシャルワーカーや医師・看護師に頼んでいる場面を何度も見ました。それぞれの家庭の事情があるにせよ、最低限のモラルは患者側にも必要だと感じます。そのうちに、救急車も全国有料化される時代になるのかも知れません。