価値感の違い
2025年05月26日
老舗の結婚式場であるホテル雅叙園東京で180組もの結婚式がホテル側からの一方的な通告によりキャンセルされると言う前代未聞の事態が起こったそうです。報道等によれば当初は建物老朽化によってではなく2025年9月末で定期建物賃貸借契約が満了となり、同10月で休館するとのことでした。もしそれが本当ならば通常1年前には結婚式場との打ち合わせが行われることを鑑みれば、少なくとも180組の中にはこれから新たに結婚式の計画を練り直さなければならない新郎新婦が多くいることになります。ホテル側も日程を9月以前にすれば会場料・レンタル衣装料を無料にする、申込金返金・迷惑料を支払うなどの措置を講じているようですが普通に考えれば大安や土日祝日などは既に予約されていると思われますから、金銭面よりも道義的責任は免れないでしょう。
その後、この土地の所有者がカナダ企業(投資会社)になったため目黒と言う都心の一等地を再開発する計画であることが報道されました。それではホテル側はなぜ定期建物賃貸借契約を更新することを先んじて行わなかったのかという疑問が湧きます。因みに以前は目黒雅叙園と呼ばれていましたが2002年に経営破綻して海外の投資ファンドに買収された経緯があります。その時点で現在の状況を予測することは困難だったのかも知れませんが、結婚式には「忌み言葉」が敬遠されることを考えれば中には結婚式自体を諦めるカップルもいることでしょう。その意味では、日本文化を継承してきたホテル側の対応にも限界があるのでしょうが非常識と言われても返せる言葉はないに等しいと感じます。
実は編集人は今から30年前の2月にあるホテルで結婚式を挙げたのですが、当日は晴天で非常に良い式になったと思っていました。ただ、夜半から数十年ぶりの大雪となり翌日に結婚式を挙げる予定だった複数のカップルの方は全公共交通機関・高速道路が通行止めとなり新婦さんがフロアで涙を流していたことを思い出すと喜びも半分だなと感じたことがあります。