オフィス鴻

日本の七二侯(夏至)

2025年06月03日

夏至・冬至は日中の時間数が最も多くなる(短くなる)日として知られており、次の季節への第一歩だと感じています。夏至はこれからもっと暑くなるとき、冬至はもっと寒くなるときであり日本の四季の中でも春分・秋分と同じくらい一般的な日でしょう。いきなり食材の話で恐縮ですが鮎漁が解禁され最盛期に入りますが、鮎は食べるエサ(藻類等)によって味が変わるとされており、編集人はうるかと聞くとその特有の苦み・うま味を思い出して少し常温~日向燗に近い日本酒を頂くことが大好きです。別名香魚とも呼ばれるようになんとなくキュウリに似た香りがするものもありますが、やはり日本では友釣り(鮎の縄張りを利用したもの)や長良川の鵜飼いが有名です。

その他にもミョウガや鱧(ハモ)を使った料理がおいしい時期でもあります。ミョウガは薬味や天婦羅で供されることが多く食欲の落ちる夏場を乗り越えるための食材ですが、迷信では「物忘れが激しくなる」とも言われており、その語源はインドの逸話が関係しているという説が有力なようです。インドに生まれた周利槃特はお釈迦様に弟子入りしてもなかなか物覚えが難しかったそうで、その逸話から迷信が誕生したようですね。

またハモは和歌山県沖で良く取れることから関西地方ではハモの湯引きに梅干を載せたものや料理が供されることが多く、近頃は関東地方でも食べられるようになりました。料理人にとっては「骨切り(皮を切らないように小骨に包丁を入れる作業のこと)」が必須であり、その技術が味を決めるとも言われています。またちょうど関東地方のウナギに時期・形状も似ており、土用の丑の日に食べるという習慣は無いものの、年に1度くらいは食べたいなと思う食材です。