オフィス鴻

予約の取れない飲食店

2025年06月22日

最近、予約が困難でその席を売り買い(オークション形式)する飲食店が少しずつ増えてきました。TV番組等で紹介されと翌日から予約が殺到したり、行列ができる飲食店もあるようで、それまで飲食店を支えてきた常連客が離れていく現象もみられるようです。特に最近の傾向として席数を絞りこみコース料理を提供する飲食店が増えたのも、最小限のオペレーションで最大の利益を上げる経営戦略によるものだと考えられます。ここで問題なのは味よりも希少価値に飛びつく顧客の存在です。実際に行ってみたら値段は高いのに候のサービス・料理が提供されなかったと言う話も良く聞きます。ビジネスライクは良いのですが、商いとして全うなのかは判断が分かれるところでしょう。

例えば1年後まで予約が埋まっている飲食店があったとして、本当に予約日を楽しみにしている顧客がどれだけいるのかを知りたいのもです。単純に予約がなかなか取れないことが売りであれば、単なる希少性だけが価値となり飲食店の総合評価としては決して高くない可能性があります。そのような飲食店に群がる顧客の目的を想像すれば、インスタに上げたいとか行くことに価値があるといった料理そのもの以外が挙げられるのかも知れません。結局は他人との差を自慢するための自己承認欲求が勝っているためで、「自分自身の価値観」を見失っている可能性が高いと思われます。言い換えれば自分の好きなものを食べるためでなく、人気にあやかって自慢したいだけということも起こり得るのです。

現在のインバウンド特需でも同じであり、自分の幸福度を図る基準として「予約が難しい」ことを挙げるならば本質を見失うことになっているように感じます。その良い例として挙げられることの1つに自分が納得できる価格と適正価格のバランス差があると考えています。1人前3万円もする高級寿司店が人気を集めているとしても、本当に満足しているのは味ではなく承認欲求だということがあり、一概に比較することができないことは理解するべきだと思います。