オフィス鴻

アメリカの関税

2025年06月28日

アメリカのトランプ大統領が打ち出している国内産業保護策の1つとして関税政策が挙げられます。一時期は世界的なサプライチェーン化が大きく進みましたが、国内雇用を考えると関税引き上げにより国内物価が上昇することは賃金上昇をも同時に進めなければならない訳で、一種の覇権主義競争が再燃している気がしています。ここでトランプ大統領の様々な政策を議論することはコラムの主旨とは異なるため割愛することにしますが、少なくとも任期中にはまだまだいろいろな施策が実施されると考えています。特に心配されるのは経済摩擦による国家間相互関係の悪化で、国民生活にも大きな影響を与えそうです。

1980年代(1960年代にも既に日米貿易摩擦は起きていました)の貿易摩擦とは経済環境が大きく変化しており単純に比較することは難しと感じていますが、政治的駆け引きであったとしても両国民の生活に影響が出ることは必至でしょう。この政治的駆け引きは国際間に限らず、アメリカならば共和党対民主党、日本ならば与党連合対その他政党と言う構図になります。まだ日本は円安でも一定の耐久性がありましたが、最近の諸物価高騰を考えれば決して他人ごとではないでしょう。ある調査では30歳未満の日本国民が全員投票行動を行っても、高齢者(たしか65歳だったと記憶しています)の投票数には及ばないことが報道されていました。言葉に語弊があるかも知れませんが、マイノリティの意見が伝わらない政治ではいずれ誰かがその負担をするのですから、勝者の良し悪しは別として身近なところに火種があると思っても差し支えない気がします。

これから先、この関税問題がどのように進むのかは明確に答えるだけの知見は編集人にはありません。ただ想像できる範囲では米中関係以外にも多くの国・地域に影響が及ぶと考えられることです。令和の米騒動では日本人の主食である国産米が2倍近くまで高騰しましたが、そのような観点で物事を見れば経済学的に解明されてくるとしても日常的に危機意識を持つ重要性は増すと思います。