オフィス鴻

精神障害者雇用の流れ

2025年07月28日

日本では従業員に占める障害者雇用の割合(法定雇用率)が定められ、2024年時点では民間企業で2.5%となりました。この割合を下回った場合には行政処分の対象となるのですが、実際には日本の障害者雇用は障害者雇用促進法(正式名称:障害者の雇用の促進等に関する法律)によって進められています。その罰則規定を見ると虚偽申告・未申告等については30万円以下の罰金や企業名公表(真面目に取り組んでいないと判断された場合)、障害者雇用率に達していない分は障害者雇用納付金(1人1月5万円)として納める必要があります。以前は精神障害の場合はカウントされなかったのですが、近年精神障害疾患を抱える方が増加傾向にあることからその雇用が義務付けられるようになりました。

実際に精神障害福祉手帳の所持者は約150万人、医学の進歩で新たな精神疾患のある方を含めれば潜在的な患者数はもっと多いと言われています。編集人が在籍していた企業でも様々な施策を取り入れていましたが、ある程度業務内容が限られてくること、周囲の従業員の負担が増すこと、短期離職率が高いことなどが要因となってバックオフィス部門などへの配属が殆どでした。編集人は身体障害者ですが、それでも就業機会は自ずと限られていると感じていることが多くありました。特に急に体調を崩してしまう方も多く見てきており、殆どが最低賃金での雇用ですから生活を安定させるのも大変です。

障害を抱えて生きていくことの難しさは、本人以外にはなかなか理解できることではありません。いくら人手不足の時代とは言っても、障害者はまだまだ取り残されている状態だと言えるでしょう。ここに自己責任論が加わると、あえて障害があることを隠して雇用される道を選ぶ方も多いようです。その他にも障害年金を受給していると、年収制限によって受給額が減少・不支給となることも挙げられます。結局は能力に見合った処遇が多くの課題を解決する糸口になると考えています。