オフィス鴻

タクシー事業の変容

2025年07月25日

アプリ配車が主流となりつつあるタクシー業界では、IT効率化による固定費削減・実車率向上以外にも様々な経営戦略を見ることができます。編集人はあるタクシーアプリを使用しており、月間10回以上配車オーダーを入れていますが、最近特に目立つのは首都圏での迎車料金が300円から500円(タクシー会社によって金額は異なります)に値上げされたことでしょう。中には迎車料金が安価であったり無料のタクシー会社もあるようで、良く利用するタクシー会社の乗務員さんに「この迎車料金はご自身の売上歩合に反映されますか?」と尋ねたところ「走行メーター分だけですね」と話しておられました。

実際にアプリを提供する会社には1件当たり150円程度の配車手数料(迎車料金についても同様の設定だそうです)が支払われると言います。例えば月12日稼働で1日10回アプリ配車を行っている場合、月間売上2万円弱×売上歩合60%=1.2万円の給料減少に繋がると試算することが出来る訳です。一見少ない金額にも思えますが人件費・燃料費などが高騰している現在、タクシー事業経営には結構なインパクトを与えるレベルです。仮に月間の日勤12日として首都圏の平均的な1日の売上を7万円としても月間運賃収入は84万円ですから、1.2万円を補填すれば対売上高利益率が1.4%下がってしまう計算です。

一方で利用回数による優先配車(プラチナ会員)も行われており、タクシー会社への直電では電話がつながらないことも多いことを鑑みれば利用者側にとってもメリットは多いと考えています。またAI解析によりどの時間帯にどの場所で乗車する顧客がいるのかが判明してきており、乗務員に指示が出される仕組みもあります。その結果、一部ではタクシーが潤沢に捕まる一方で全くタクシーが走っていないことも起こり得るのです。ただ個人タクシーに関してはインボイス制度が導入されて以降燃料高騰などもあり、収益面からアプリ配車は浸透していないようです。