オフィス鴻

病院勤務医の働き方

2025年07月09日

先日編集人の通う大学病院の担当医から夕方に直接携帯電話に連絡がありました。その時は約1時間後にリダイヤルしたのですが、交換手の話では既に帰宅の途についたようですとのことでした。これまでも何度か主治医から直接連絡を頂戴することはありましたが、やはり「何かあったのか?」と気になってしまうと同時に今回は入院時担当医であることに若干の違和感を覚えていました。翌日朝一番で電話したところ、薬の服用方法変更に関する件であることを伝えてくれました。既に退院から3週間も経過しているのに入院患者の服薬状況まで気を配ってくださる担当医の姿勢に感謝しつつも、これが医師の長時間労働の一因かも知れないと感じた次第です。

実際には入院中に新たに肺に血栓があることが判明して、その時に処方された薬は非常に強く体内の出血を伴う危険性があるとの説明を受けていました。あくまでも入院患者の目線で医師の勤務を見ていると、毎朝8時から各科でのカンファレンスに始まり外来診察、急患対応、そして夜勤等があり正直いつ休みをとっているのか心配になるほどでした。その他にも診断書・診療情報提供書等の作成、IC(患者・家族等への説明;インフォームド・コンセント)、論文作成・研究などの事務的作業もあります。また患者の家族が土日にしか来れない時などは代わりの医師がICを担当しますが、中には担当医でなければダメという方も少なくないようです。

当該大学病院でも電子カルテなどのIT化も進められていますが、実際には様々な理由から満床であっても患者を受け入れることがあるそうです。特にその病院での専門研究(希少難病等)や通院歴のある患者の容体が急変した場合には処置室・個室・ICU/HCUなどが使われることもあります。つまり単なるDXや経営理論だけでは片づけられない「命の重さと高い倫理性」を持った医師により支えられ、患者側次第で救われるはずの命が救えないこともあり得ると思っています。