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膨張する世界軍事費

2025年08月27日

ノーベル賞財団があるスウェーデンストックホルムにある国際平和研究所が発表した2024年度の世界軍事費データでは、対前年比で9.4%増加の約390兆円になったとの調査報告があります。この伸び率は1989年以降の冷戦終結後では過去最大となったと分析されています。軍事費算出には様々なパラメータが複雑に絡んでおり単純比較することは難しいのですが、少なくとも2022年にロシアがウクライナ侵攻を行ったことで、結果的に世界の軍事バランスに変化が生じて中東(イスラエル・ハマス)・中国・アフリカなどで紛争が激化していることはご存知の通りです。その他にもNATO加盟を巡った欧州の影響も無視できないでしょう。

最近の戦争では人間が直接戦闘に参加しない無人機・弾道ミサイル・レーザー銃などが多く使われるようになりましたが、どのような武器を使っても結局は一般市民が巻き込まれることは避けて通れないようです。例えばパレスチナのガザ地区ではイスラエル側が何らかの理由をつけて攻撃を繰り返しており、死傷者だけではなく水・食料・医薬品などの輸送ルートを遮断することで国内外から多くの批判を浴びています。また日本と非常に難しい関係にある北朝鮮もロシアに兵士を数万人送って犠牲者が出ているとの報道もあり、東アジア情勢に緊張感が漂っていることも見逃せないでしょう。

一方で軍事技術が民生用に利用されることで、人々の生活が便利になる点も見逃せません。日本には自衛隊があり、国防と災害救助、国際平和支援等の活動は非常に高く評価されています。特に四方を海に囲まれていることから海上自衛隊の能力(潜水艦等)は世界でもトップクラスと評価されていますが、竹島・北方四島など国際法上不法占拠されていたり尖閣諸島には中国海警局(実質的な海軍と同じ)の船艇が領海侵犯を繰り返すことなどに対峙しています。因みに日本の軍事費は8兆7000億円で対GDP比で2%を超える勢いで毎年1兆円ずつ増加しているのですが、反撃能力整備・装備品調達・自衛官の処遇改善費なども膨らんでいるのが実情です。