食品廃棄ロス
2025年08月17日
2025年に入ってから食品廃棄ロス削減の取り組みが業界の垣根を超えて始まっています。例えば廃棄食品をバイオマス発電に活用するために大手外食産業と手を組む重工業を主流とする企業が現れたり、コンビニエンスストアがコメ不足による価格高騰でロスを見直す動きなどがあります。特にコンビニチェーンはかつて値引き販売を認めない、本社が勝手に発注する、廃棄費用は加盟店持ちなどのルールがまかり通っていたことを考えれば、既に成熟産業から衰退産業へと進む過程にあるのかも知れません。編集人はコンビニ店舗で働いたことはありませんが、日本人の価値観にある「もったいない」の精神はどこかに行ってしまったようです。
従来型のコンビニエンスストアを経営するためには商品開発から店舗管理を軸として、いかにフランチャイズ料(≒売上)を増やすのかに重点が置かれていました。先述のような施策も突き詰めれば販売機会損失を嫌う本部の姿勢が反映されていたことになります。そのため自爆営業(クリスマスケーキや恵方巻の売れ残りを従業員に買わせる行為)が日常化していたことを考えれば、現在の状況は当然の帰結のように思われます。また消費者の購買行動も食品廃棄ロスを増やす一因であることに視点を向ける必要があります。一例では棚(シェルフ)の奥から賞味期限の長い商品をその日食べるものなのに取り出すこと等です。
編集人も販売機会損失(欠品・品切れ・汚破損など)と販売価格について、中間流通の視点から調査・研究したことがあります。ある分野では欠品補充のために商品単価に等しいコストがかかり、結果として消費者への販売時に上乗せされていることが判明しました。ほんの少しの行動が消費者利益に反しているとも言えます。この食品廃棄ロスについても環境省の資料では一般廃棄物処理費は約3兆円に達し、食品ロスは年間4兆円と試算されています。カロリーベースの食料自給率も38%ですから、廃棄率前提の製造自体を改めなければならない時期に差し掛かっていると考えています。