役員退職金の活用
2025年08月14日
昨今は個人事業主となって自分なりの生き方を目指す方が増えています。最初はごく少人数での起業から始まりますが、業容が大きくなるにつれ従業員を雇うことも視野に入ってくるのが一般的でしょう。そしてある程度齢を重ねて事業が継続していくと、事業承継(後継者)や自身の今後の身の振り方について考える時期が必ず訪れます。編集人の周囲にでも段々と第一線から退かれる経営者の方が多くなってきた印象があります。実際には黒字であるうちに事業売却する方もいらっしゃいますが、多くは一定期間会長職などに留まってビジネスに関わっていたいと考える方も少なくありません。
また編集人は企業M&Aに携わることが多くありましたので、色々なタイプの方を間近で拝見する機会に恵まれました。その中で早いうちから役員退職金を積み立てておいた経営者の方が、金銭面での引退後の不安を解消できることを知りました。万が一在任中に死亡された時には退職慰労金や生命保険などが残された遺族の手に渡りますが、税制面では役員退職金の方が手間(定款、株主総会等)がかかることも事実です。ただ経理処理上の諸課題をクリアしておけば損金算入(経費として認められる)が出来たり、自社株式譲渡時の時価評価額を下げる効果や退職金課税の節減効果も期待できます。
日本では年金支給年齢や定年引上げが検討されており、健康寿命を考えると75歳くらいまでにはある程度自由な時間とまとまった老後資金を蓄えてそれまでの仕事人生からエンディングまでにやりたいことが出来るようにするのが理想でしょう。編集人も還暦を過ぎ難病治療に立ち向かっていますが、仕事量はかなり抑えながらも新たな取引先と新たな仕事をする機会は大切にしています。既に子どもは独立していますので、これからはできるだけ妻の希望(夢)を叶えられるようにと考えています。会社経営者とは違ってもそれぞれの生き方・価値観を尊重し合ってこそ心豊かな老後を送れるのだと思っています。