オフィス鴻

不思議な秩序

2025年09月10日

東京渋谷駅前にあるスクランブル交差点は、ハチ公像と共に訪日客が数多く訪れている観光地となっています。編集人も中高大通学時に渋谷駅は頻繁に利用していたこともあり、当時は現在のように観光客は殆どおらず、どちらかと言えばサラリーマンの方が夜になると遊びに来る場所で不思議とカオスを感じられたのを覚えています。最近は渋谷界隈の再開発が一段落した感がありますが、身体障害者にとってはエレベーターが少なくスマホに夢中でキャリーケースや身体をぶつけてくる訪日客・観光客・通行人も多いです。そのため渋谷駅での乗り換えは躊躇するようになり、タクシーを利用することが増えました。

さて表題の「不思議な秩序」とは「渋谷のスクランブル交差点で通行人同士がなぜぶつからずに歩けるのか?」といった訪日客の疑問に通じるものがあります。日本人の多くが他人の感情を読む文化的習慣があり、また争いを好まない性分からお互いの動きを事前に察知してトラブルを自然と避ける知恵が育まれているのだと感じています。実際に編集人が海外に行くと横断歩道で信号が替わるのをきちんと待っている現地人はほとんどおらず、車列・車間の隙間を縫うように渡っていきます。また日本の子供たちが横断歩道で待っていると、車が止まってくれること等は奇跡と思われているようです。

日本人の特性の1つに聖徳太子の「和を持って尊しとなす」という空気を読む感情があるとされていますが、世界には日本の皇室以上に1,000年以上継続している国家はありません。つまり日本人の特性は長年にわたる文化継承の段階で自然と育まれてきたものであり、最近の人類学者の研究では特定の塩基配列が関係しているのではとの見方もあります。これまで同調圧力や社会の閉鎖性として日本は海外からネガティブな印象を持たれていましたが、最近は静かな調和は数値化できない日本特有の文化だとの印象に代わってきました。この先に訪れる未来での日本人の価値が改めて問われると考えています。