オフィス鴻

生活保護予備軍の外国人

2025年10月25日

今年7月の参議院議員選挙では外国人に関連する施策を掲げた政党が複数ありました。その背景には日本特有の外国人に対する偏見が幾ばくか混じっているようにも感じられます。本来ならば政治的に迫害されていたり紛争地から逃れてきた難民の方々に対する支援には、日本人としても協力したいと考える方が多いでしょう。しかし一部の意見として不法受給している外国人がいる、来日して数日で生活保護を受け取っている、犯罪に手を染める外国人が多い、納税・社会保険料の義務を果たしていない外国人がいるといった事実の裏付けが取れない流言が流布されている可能性も否定できません。

この問題を知るには1950年に施行された生活保護法を見ていく必要があると考えています。そこには日本国籍を持つ人のみを対象とする国籍条項が明記されており、外国人には生活保護法が適用されないと定められていたのです。しかし1989年に注目を集めた塩見訴訟によって、外国人が生活保護を受給できないという事実に対し法的な争いが起きたと言われています。当該法律は変更されなかったものの、行政の判断で人道的観点から外国人に支援を行うことの妥当性が認められた経緯があります。ただし特定の在留資格保持者(永住者・日本人の配偶者・特別永住者)が対象とされました。

つまり生活保護法による支給では無く、行政が独自に生活保護費基準に近い金員の支援を行っていると言うことです。そこで問題となるのは本ブログ(2024/10/22;高齢者の生活保護)でも記載したように、生活保護制度は誰のためのものであり、どのような場合に支給・不支給となるのかといった疑問が日本人にあるのも事実でしょう。しかし中には不法受給者が存在していることも事実であり、正しい事実に基づく討議が必要だと考えています。日本がより世界中の国から信頼される国家として存在し続けるためには、国民1人1人の合意形成が何よりも不可欠だと感じています。