オフィス鴻

Orange Devils(台湾)

2025年10月02日

2022年10月、台湾の国慶節(National Day;建国記念日)に京都橘高等学校吹奏楽部は、当時の蔡英文総統と中華文化總會からの招待を受け、台湾で日台友好50周年を祝賀する演奏活動を行いました。日本は台湾とは中華人民共和国との外交関係から正式な国交がないにもかかわらず、このような形で日本の高校生が親善友好の役割を果たしていることに編集人は素晴らしいと感じています。この招待では台湾総統府への訪問・圓山大飯店等での演奏を始めとした活動を行っており、翌2023年には台湾南部の高雄市での高校生マーチングバンドの大会にもゲストとして参加しています。

映像を見ると練習段階から多くの観客に見守られ、本番では大きな拍手と歓声に包まれていましたことが判ります。台湾は日本から航空機で2~3時間程度の位置にありますが、地震等の災害時相互支援だけでなく台湾産パイナップルが中国から突然の禁輸措置を受けた時に日本の小売業が積極的に輸入したことで、台湾農家のダメージが大きく減少したことが知られています。またこのパイナップルはフィリピン産の2倍近い価格であるにもかかわらず店頭ではすぐに品切れとなり、ここ最近ではスーパー等の店頭に並ぶ機会も増えています。つまり日本の消費者が間接的に台湾を応援していることになりますね。

このような形で親善大使としての役割を高校生たちが担っていることは日本の誇りであり、これからも台湾との良好な関係が永続することを願わずにはいられません。しかし先述のように中国との関係を鑑みると、近未来において台湾有事と呼ばれる東アジア地区での地政学的緊張が懸念されています。ただ政治や外交だけでは解決が難しい課題であっても、文化交流によってお互いを尊重し合うような国際関係がここには存在しています。単に高校生の活動と言う枠組みを超えた活動には、今後の日本人のアイデンティティや国際貢献の一例として多くのヒントを示唆してくれると考えています。