日本人と訪日ツーリスト
2025年09月29日
日本の観光政策において、訪日客との共存を考えるべきとの風潮が話題に上ることが増えています。単なる人数(量)としてのオーバーツーリズムはこれまでもホテル代金の高騰、飲食店の二重価格、観光地でのオーバーキャパシティなどの例で報道等でも伝えられてきました。しかし日本の風習・文化や国民性などを訪日客が尊重すべきなのか、それとも日本人が観光政策を進めている以上譲歩するべきなのかと言った質における議論は各人各様です。それぞれの置かれた状況・立場(観光事業者、地域住民など)によって見解が異なることは容易に想像できますから、一筋縄ではいかない難題かも知れません。
具体例を挙げれば、大きな旅行用キャリーバックを無秩序に置いたり、指定席に勝手に座っていたなどのトラブルを耳にします。もちろん多くの訪日客はある程度日本のルールを学習した上で来日していると考えられ、大きなトラブルに発展するケースは多くない様に感じます。その背景には日本の鉄道は欧州とは異なり、元々座席仕様をベースに車両開発が行われ殆どの列車にはキャリーケース・自転車等を置くスペースは準備されていません。また一部の新幹線車両には予約制の有料スペースが設けられているものの、そもそも論として車内に持ち込める手荷物に制限があることを認識していない可能性もあります。
もう1つは所謂弾丸ツアーのように宿泊施設予約なしに訪日した旅行者が、24時間営業のファストフード店・カフェなどに荷物を長時間放置して場所取りをしていたり、場合によっては一晩をあかすこともあるようです。実際編集人も某ファストフード店に早朝入店したところ2階席の殆どが旅行者の仮眠場所となっており、致し方なく1階のスペースで立食で済ませた経験があります。訪日客と言っても全員が金銭的余裕がある訳ではなく、またマナーを守っていない方もいるのです。しかし日本人が海外に行った時に、本当に地域文化を尊重できているのかという点では他山の石として気を付けたいものです。