オフィス鴻

軽急便の違反行為

2025年10月09日

2025年4月20日付本ブログで、国土交通省から許可を受けていない車両(白ナンバー)で旅客を有償輸送することは一部の例外を除いて禁止されていることをお伝えしました。今回の軽急便社の違反行為は、貨物自動車運送事業許可のみで旅客輸送を行ったことが無許可貨客混載だとして摘発されたものです。当該違反行為の概要は電気製品修理・設置、空調の保守点検企業から作業員を同乗させたと日本経済新聞が報じています。またもっと悪質だと編集人が感じたのは、業務委受託契約書の中に貨物運送分の料金だけが記載されていて、同社も専属契約を目的としていたことを認めています。

正直この程度の法解釈は貨物運送事業者であれば必ず知っている内容であり、安全性を無視した営業活動を本社が違法性が無いとして認めたことにも編集人は唖然としました。結果的に売り上げ・利益を求める企業がいる限り、このような営業行為は闇営業と同じで他社でもやっている可能性は否定できません。一時的には収益アップに繋がりますが、軽トラック(軽乗用車とは異なります)に他社従業員を同乗させることは安全性の観点で非常に問題ある行為だと感じます。具体的に言うと、貨物積載方法次第では軽トラックの操舵性(運転性)が悪くなることが知られているのです。

編集人は長年ロジスティクスに関わっていますが、一部のルールを守らない事業者の存在が業界全体の評判にも悪影響を及ぼす事例を数多く見てきました。物流業界は比較的参入が容易な業界だとも言われている一方で、常に過当競争に晒されている業界でもあります。そのため他社の顧客を奪いたい事業者が違反行為と分かっている契約を結ぶケースも実際に存在しますし、そもそも関係法令さえ理解していない経営者・管理者が多いのも気になるところです。業界全体への信頼感が醸成されていけばいずれ不適格事業者は撤退せざるを得ないことになりますから、今回のケースから学ぶことは多いと感じます。