富士山と遭難救助
2025年10月20日
ある中国籍男性が閉山中の富士山で遭難して防災ヘリ救助されたのち、スマホを探すために再登山してまた救助要請を出したことが契機で、遭難救助費用の事故負担についての議論が盛んになりました。富士山登山口がある山梨県・静岡県ともに知事宛に自己負担に関する要望を行い、閉山中は全て有料化する方向で検討が進められています。既に入山人数制限や入山上の徴収、そして夜間入山禁止が始まっていますが、今シーズンが始まる前も登山道が閉鎖しているにもかかわらず強硬に登山する外国人観光客が後を絶たなかったようです。過去には日本人YouTuberの冬季滑落死亡事故もありましたね。
さて富士山の登山シーズンは毎年7月1日から9月10日までと決められており、吉田口・富士宮口・砂走・御殿場の4ルートがあります。ただ夏登山と言えども高山病や防寒具が必要な高い山であり、山小屋宿泊にも定員があります。当然山小屋へと食品等搬入するにも多大なコストがかかるだけでなく、ゴミ・トイレの維持にもコストがかかります。そのような支えがあるからこそ登山が出来る訳ですから、これらのルール適用は当然でしょう。人道的に遭難者を救助することは当然であるとしても、ルール違反に対してはもっと毅然とした対応が観光立国として必要だとも感じています。
もう1つ最近の出来事として、九州地方でドクターヘリが整備不良によって墜落し、その後多くの地域で整備士不足による運行停止が相次いでいるとの報道がありました。実際に登山者を救助するのは警察航空隊が主ですが、一定期間を過ぎると家族の判断で民間に依頼する選択肢があります。もし人力による救助を依頼すれば1日50万円程度、更にヘリコプターを依頼すれば1日あたり数十万円の費用が発生します。これを考えると、ヘリコプターとていつでも運行できるとは限りません。つまり自分の命を自分で守れないのならば、無謀な行動が周囲に多大な迷惑をかけることを避けるべきだと思います。