飲食事業者とM&A
2025年11月07日
読者の皆さんは普段利用している飲食店のメニューやオペレーション、または店舗名や看板が変更されていた経験をしたことはありませんか?編集人居宅周辺でもチェーン店を中心にこのような現象を見ることが出来ます。編集人が良く利用していたリーズナブルだが回転式ではない寿司チェーン店でも、突然品揃えが替わり魚の品質が落ちてきたことがありました。最終的には別チェーン店へと売却されたのですが、このような消費者が感じる様々な変化がM&Aを知るきっかけともなります。馴染の飲食店が様変わりすることには一抹の寂しさを感じるものの、時代の流れだと思うのです。
このような飲食店のM&Aには、大きく分けて2つの形態があると考えています。まず1つ目は複数事業を展開していた企業が本業回帰と新規事業等への選択・集中によって飲食事業部門を売却する、または逆にそのような企業から飲食事業を買い取ってグループ経営でのシナジー効果を狙うケースです。いずれのケースでも企業価値を高めることを主目的にしており、中には従業員雇用維持のためにホワイトナイト的な買収を行う経営者もいるようです。消費者にとっては好きな飲食店が存続することは嬉しいですし、経営的にも事業再生できるM&Aは飲食業にとって必要な選択肢とも言えるでしょう。
もう1つは企業規模に関わらず一般的な後継者不足による営業譲渡を行うケースです。つまり事業承継型であり、この場合は当該企業のブランド力が高い資産価値を有しているのでグループ会社としてHQの傘下に置かれることが多いようです。このような形態にすれば貴重な戦力・財産である人材を継続雇用することが出来ますし、ブランドもそのまま承継できるのです。全く逆のパターンはのれん分けやフランチャイズで店舗拡大を図った場合で、買収側から見れば合理的でも買収される側からすれば一種の押し付けともとられかねません。いずれにしても企業・消費者にとってプラスならば嬉しいですね。



