運航ダイヤの修正
2025年11月12日
日立グループとANAは、イレギュラー発生時に運行ダイヤ修正が可能なシステムの運用を開始しました。日立グループと言えば列車輸送制御システムでAIによる運行調整するシステムを既に運用しており、それより稼働数は少なくても多くの乗客に影響があり、かつオペレーションが複雑な航空業界にも波及することは利用者にとっても大きな利点があると考えられます。実際に航空機管制業務等はミスが許されないため非常に心理的負担が高い業務とされ、その観点では省力化と正確性、そして顧客利便性を一緒に享受できるこの修正システムの存在は新たな日本の姿を彷彿させるものでしょう。
少し視点は異なりますが、国土交通省航空局が発表した2024年度の航空機事故・重大インシデント(航空輸送の安全にかかわる情報(令和6年度上半期))は合計6件ありました。航空機事故は日本航空774便乱気流事故・匠航空の回転翼航空機(ヘリコプター)の不時着事故・オリエンタルエアブリッジ79便バードストライク事故・日本航空22便乱気流事故、重大インシデントはANAウイングス運航389便(着陸復行)・ANAウイングス運航372便(気圧低下)が挙げられます。中にはヒューマンエラーとされる事例はあるものの、当該システムの重要性に変わりはありません。
編集人の研究領域である中間流通(トラック輸送)ではこのようなシステム開発は検討されているものの、技術面や統合オペレーション面で大きなハードルが立ちはだかっています。特定顧客の特定業務であれば導入は可能と考えていますが、導入費用をカバーするだけの経済合理性はまだ得られないと推測しています。その理由は物流業界全体を取り巻く諸情報交換方式が統一されていないことにあります。本来ならば国土交通省や全日本トラック協会などが取りまとめ役となり推進すべき事項のように思えますが、最終的には物流業界全体のモラルや商慣習を変えるにはハードルが高いのだと考えています。



